
子育てが一段落した。定年後の暮らしを考え始めた。老後に少しでも備えたい――
そんな気持ちで、スマホから仕事を探す人もいるでしょう。
そんなとき目に入ってくるのが、
「スマホひとつで月10万円」「50代・未経験でもすぐに稼げる」
といった投稿。
「自分にもできそう」「ちょっと話を聞いてみようかな」
そう思って応募したら、実際には教材や高額なサポート契約の勧誘だった、というケースがあります。
前回は「50代からの仕事の探し方」について書きましたが、今回はその続きとして、ネットで仕事を探すとき、応募する前に気を付けたいことをまとめました。
気になる言葉だけでなく、その先も確認を

「未経験歓迎」も「在宅ワーク」も、その言葉自体が怪しいわけではありません。
大事なのは、肝心の仕事の説明がちゃんとあるかです。
「スマホ1台」「コピペだけ」「スキマ時間5分」
手軽さばかりうたって、結局何をする仕事なのかわからない。そんな募集を見つけたら、少し立ち止まってみてください。
- 何をするのか
- どれくらい作業するのか
- 誰が、何に対して報酬を払うのか
- 条件を満たしたら、いくらもらえるのか
このあたりをまず確認しましょう。
「月10万円」と書いてあっても、どれくらい働けばいいのか、経費はかかるのか。それがわからなければ、自分に合う仕事なのか判断できません。
国民生活センターも、簡単な作業で稼げると誘い、最初は少額の報酬を支払ったあと、さまざまな理由をつけて送金を求める手口について注意を呼びかけています。最初に一度お金をもらえたから大丈夫、とは限らないのです。
「50代主婦でも初月○万円稼げた!」
「完全未経験から月○万円に!」
なんて、同年代の体験談が出てくるとちょっと安心しますよね。「この人にもできたなら、私にもできるかも」と思うのは自然なことです。
ただ、その人が実際に何をしたのかは別問題。どんな作業だったのか。何時間くらいかかったのか。仕事を始めるまでにお金がかかっていないか。
たとえば、「未経験OK」なら、研修はあるのか、最初はどんな仕事をするのか、困ったとき誰に聞けるのか。そこまで説明されているかも見ておきたいところです。
「詳細はプロフィールへ」「『副業』とコメントしてね」
プロフィールへの案内やDMでの連絡は、一般的な情報発信でも使われます。気をつけたいのは、その先でも仕事内容を明かさず、登録や面談ばかりを急がせる場合です。
「まずLINEに登録して」
「詳しくは電話でしか説明できません」
「今日中に決めれば特別価格です」
最初は仕事を探していたはずなのに、気づいたら有料サービスの説明を聞いている。
こうなってしまったら、一度そこで止まってみましょう。
別の人の投稿なのに、続きが同じ文章?

実際にThreads(スレッズ)で求人を検索していたときの例です。
仕事の募集を探していたはずが、怪しげな投資の話が出てきました。そこで気になったのが、別の人物のプロフィールなのに、投稿と、その下に続く文章がほぼ同じだったことです。
単体で読めば、「へえ、こんなふうに稼げたんだ」「働くより効率いいかも」と思ってしまうかもしれないです。 でも、別のアカウントでも同じ文章を見つけ、 「これ、本当にこの人自身の体験なのかな?」 と、疑いに変わりました。そう思ってよくよく見ると、豪邸や高そうな車の写真もAIっぽい。
「ただより高いものはない」という言葉があります。
そもそも、稼げる儲け話を大勢の人が見るSNSで公開するメリットは何なのか。 「無料であげます」と言うのも同じです。その広告だってお金がかかります。 無料であげるメリットは何なのか。ただの信じられないくらい「親切な人」なんでしょうか。
答えは明白です。その先に「儲けるための仕組みがあるから」です。 仕事を探していたのに、いつの間にか投資や入金の話になっていないか。 文章そのものだけでなく、「結局どこへ誘導されるのか」も気をつけておかないといけません。
手軽なクラウドソーシング。でも条件の確認は慎重に

仕事を依頼したい人と、請けたい人をつなぐクラウドソーシング。 単価は低めですが、ちょっと稼ぎたい人や、リスタート世代でも利用しやすいサービスです。
しかし、手軽なだけに発注者も玉石混交。 だからこそ「見極める目」が大事になります。 よく知られたサービスだからと安心せず、個々の依頼内容は自分でしっかり確認する必要があります。
◆「テストだから安くても仕方ない」と思わない
たとえば、「テストライティング・1文字0.01円」という募集があったとします。 2,000文字書いても、報酬はたったの20円。
ちょうど、あなたが今読んでいるこの章ひとつ分で約2,000文字。 そしてこの記事全体では約6,000文字なので、これだけすべて書いても、わずか60円程度です。
「AIに書かせれば楽だからいい」という意見もあるでしょう。 確かにAIも指示次第で、かなり良い文章を作ること自体は可能です。 ですが、事実のリサーチや表現の微調整など、人間が手をいれる時間は必ず発生します。
それに、AIで短時間で仕上げられたとしても、60円は明らかに不当な安さです。「初心者だから」「AIで楽をしたから」安くていいなどと、自分の時間やスキルをタダ同然で買い叩かれないように…ライティングに限らず言えることです。
また、「採用後は高単価」という説明があるかもしれませんが、まだ採用が決まっているわけではありませんし、提出したら不採用で、報酬もなし。(ひどい場合は連絡すらないことも)
なのに、その後勝手にその文章が使われていたらどうしますか?
不採用にしてタダで文章を集めることができるなら、相手にとってこんな好都合な話はないですよね。
テストを受ける前に、報酬、作業量、修正回数、不採用時の原稿の扱いを確認することが大切です。
遠慮することはありません。たとえテストでも、金銭のやり取りが発生する以上、それは立派な仕事です。確認するのは請ける側の当然の権利です。
けれど、そういったことをきちんと確認しようとすると、嫌がる依頼先もあるでしょう。
でも、それはそれだけの相手だったということ。
「仕事を請けなくてよかった」のだと思います。トラブルを未然に防げた、ということです。
◆「契約前のオンライン面談」は、あり?
契約前なのに、Zoomなどのオンライン面談を求められることがあります。オンライン面談そのものが、一律に禁止されているわけではありません。
一般的な企業でも、オンラインで面接を行って採用を決めるケースは増えています。
しかし、実際に面談をしてみたら、仕事の説明ではなく高額講座の勧誘だった…ということもよくあります。
相手に顔を知られているだけに、その場で断わるのもちょっと怖いですよね。
通常、クラウドソーシングを通さずに無断で連絡先を交換することは禁じられていますが、契約前でも必要な打ち合わせのために、正式な申請を経て連絡を認める仕組みもあります。
利用しているサービスにどんなルールがあるのか、最新の規約を確認しておきましょう。
応募前に覚えておきたい、3つのこと

①「受け取るはずのお金」が「払うお金」に変わったら止まる
SNSが発達する以前からよく見られた手法です。
「仕事を紹介するために教材の購入が必要」
「報酬を引き出すには先に手数料を振り込んで」
「ミスをしたので補償金を払って」
仕事を探していたはずなのに、いつの間にかこちらがお金を払う話になっている。これは要注意です。
仕事に使う道具を買ったり、自分で選んだ勉強にお金を使ったりすることまで否定する話ではありません。
ただ、「これを払えば必ず稼げる」と言われても、その場で契約する必要はありません。借金を勧められたり、スマホを遠隔操作するアプリを入れるよう指示されたりした場合も、いったんやり取りを止めましょう。
国民生活センターには、こうした指示から借り入れや送金につながった相談も寄せられています。
② 連絡手段より、「何を説明されたか」を見る
LINEだから危険、メールだから安全、という話ではありません。見るべきなのは、
- 仕事内容が文面に残っているか
- 報酬や支払日がはっきりしているか
- 質問にきちんと答えてくれるか
- 利用しているサービスのルールを無視して外部へ誘導していないか
といったところです。
面談で話した内容も、作業範囲や金額、支払日などは、文章などでもらい、あとから確認できる形にしておくと安心です。
③ 相手の名前と、仕事の条件を照らし合わせる
会社名や事業者名、所在地、連絡先、契約相手を確認しましょう。募集ページと公式サイト、契約書で名前が違う場合は、その理由も尋ねます。
固定電話がないことや、法人ではないことだけで危険とは決められません。逆に、立派なホームページや法人登記があっても、それだけで安心はできません。
誰に何を依頼されて、いつ、いくら支払われるのか。そこが曖昧なままなら、応募や契約を見送っても大丈夫です。
「おかしいかも」と思ったら、途中でも相談してみて

すでに登録した。面談を受けた。少しお金を払ってしまった…
そんな場合でも、「ここまで進んだから、今さら断りにくい」と考えて続ける必要はありません。
「おかしいな」と思ったら、まず相談してみる。
利用したサービスの運営窓口に相談する方法もあります。
募集画面やメッセージ、契約内容、支払いの記録などを保存しておくと、スムーズに相談できます。
また、副業の契約や支払いで困ったときは、消費者ホットライン「188(いやや)」へ。
地域の消費生活センターなどにつながります。
「これって詐欺なのかな?」と自分で判断できない段階でも、相談できます。
※リンク切れの場合は、“消費者ホットライン 188”などで検索してみてください。
焦らなくて大丈夫。条件を確かめることも、仕事探しのうち

まずは、週に何日働きたいか。 在宅が必須なのか、近所への通勤もできるのか。 どんな仕事なら、無理なく続けられそうか。
そのあたりを先に考えておくと、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
お金を稼ぐ目的も、人それぞれ違うでしょう。 月にどのくらいの余裕がほしいのか。
そこから逆算して、希望の時給や勤務時間、日数を決めていく。 ネットの募集だけでなく、地域の就労相談窓口で話を聞いたり、身近な職場を探したりする方法もあります。
「ちょっと怪しいな」と思ったら、急がない。 わからないことは聞いてみる。 条件が合わなければ迷わず断る。
おとなの仕事探しは、それくらいの余裕を持って進めていきたいものですね。