
保護犬や保護猫を迎えたい。
そう思ったとき、ふと頭をよぎる言葉があります。
「年齢で断られることがあるらしい」
特に50代を過ぎると、どこか現実的な不安として感じる人も多いはずです。
まだ元気でも、これから先のことを考えると、迷いが生まれるのは自然なことです。
では実際に、「何歳から無理」なのでしょうか。
実際に50代、60代で保護犬、保護猫を迎えた方の実体験を交えて調べてみました。
60歳がひとつの目安、と言われる理由

結論から言うと、
60歳を境に一律で断られる、というルールはありません。
ただし現場では、60歳前後から条件が付くケースが増えるのは事実です。
その背景には、いくつかの現実的な理由があります。
犬や猫の寿命は、10年から20年。
今迎えた場合、最期まで看取るには長い時間が必要になります。
さらに年齢を重ねるにつれて、
- 体力の変化
- 病気や入院のリスク
- 医療費や介護の負担
といった要素も無視できなくなります。
多くの保護団体は、「飼い主に何かあったとき、その子はどうなるのか」を最も重視しています。
つまり年齢制限は、人を排除するためではなく、動物の行き場をなくさないための仕組みでもあるのです。
「もう無理なのか」と感じた人へ

ここで、「やはり難しいのか」と感じる人もいるかもしれません。
ですが、実際にはもう少し柔軟です。
多くの場合、問われているのは年齢そのものではなく、
“その先の備えがあるかどうか”です。
たとえば、
- 自分に何かあったときに引き取ってくれる人がいるか
- 家族の理解があるか
- 継続的に世話ができる環境か
こうした条件が整っていれば、60代でも譲渡されているケースは少なくありません。
60歳のとき、保護猫を迎えたいと思い、色々な譲渡会に行きました。年齢制限が一番若かったのは55歳以下というところがありました。
他は60〜65歳が多かったですが、いずれも本人に何かあった時に面倒を見る人がいるかどうかなどで、年齢を超えていても可能な場合がありました。大きな譲渡会では複数の保護団体が参加しているので、年齢だけで諦めず、よく条件や話を聞いて見ると良いと思います。
子供の頃から動物好きでしたが、家が借家だったため飼えませんでした。
子供が巣立ったタイミングで念願だった犬を飼いたいと思いました。仕事で家を空けることもあったので、手のかかる子犬では無く成犬を探していたところ、地域の広報誌で里親募集の記事を見つけました。ブリーダーから引き取ったため、年齢制限はありませんでした。
「もしものとき」にどう備えるか

では実際に、どんな準備ができるのでしょうか。
まず現実的なのは、引き取り先を決めておくことです。
家族や親しい友人と話し合い、「いざというときはお願いできるか」を確認しておくだけでも大きく違います。
加えて、
- 緊急連絡先を書いたメモを残しておく
- 飼育状況やフード、通院先をまとめておく
- 預かり制度や終生飼養サービスを調べておく
といった準備も、安心材料になります。
重要なのは、「完璧に備えること」ではなく、
誰かにバトンを渡せる状態にしておくことです。
保護団体の条件では60歳までということでしたが、同居してる娘も面倒をみることになっていたので安心でした。
年齢的にはギリギリ大丈夫でしたが、自身の健康面の不安もあり、自分一人では決心がつかなかったと思います。また、引越し先の近くに良い動物病院があったことも決めてとなりました。
保護犬・保護猫を迎えるうえで知っておきたいこと

保護犬や保護猫の譲渡では、年齢や生活環境とあわせて「その子の背景」も重要な判断材料になります。
保護された動物の中には、これまで十分な人との関わりがなかったり、劣悪な環境で過ごしてきた経験を持つ子もいます。そのため、家庭に迎えたあとすぐに人に慣れるとは限りません。
たとえば、
- 人の手や声に強い警戒心を示す
- 散歩や外の環境に慣れていない
- ケージや狭い空間に安心を感じる
- 些細な音や動きに敏感に反応する
といった行動が見られることがあります。
これは問題行動というよりも、これまでの環境の中で身についた“その子なりの生き方”です。
また、「無料だから」という理由で里親を希望される方もいますが、命を迎えることは決して“お金がかからない選択”ではありません。
どこから迎えても病気や医療費は同じようにかかります。
安易な気持ちでの受け入れは、結果的にうまくいかなくなることもあります。
保護犬・保護猫と暮らすということは、“理想のペット”を迎えることではなく、今いるその子と関係を築いていくことでもあります。
少しずつ距離が縮まり、安心してくれる瞬間が増えていく過程は、ペットショップで迎えるケースとはまた違った喜びがあります。
繁殖犬ということで、1日のほとんどを狭いケージの中で過ごしていたため、散歩の仕方も、遊び方も知りませんでした。
ぐるぐる同じところを回る、爪が伸びて短く切れない(血管も伸びているため)、リードを嫌がる、外を怖がる、トイレのしつけができていないなど色々な問題はありましたが、暮らしていく中で意識したのは、「できないことを直すこと」よりも、「できることとできないことを見極めること」でした。
この子が強く嫌がることは無理に行わず、安心できる範囲を少しずつ広げていくことを大切にしました。
飼う以外の関わり方もある

どうしても条件が難しい場合でも、関わり方はひとつではありません。
たとえば、
- 一時的に預かるボランティア
- シニア犬・シニア猫を迎える選択
- 寄付や通いで支える関わり方
いずれも、保護犬や保護猫にとって大切な支えになります。
「飼えない=関われない」ではない、という視点を持つことで、選択肢は大きく広がります。
この子を見送ったあと自分も年齢的に飼うのは難しいと思っていますが、一時的にお預かりしたり、お散歩ボランティアなどで保護犬活動に関わっていきたいと考えています。
年齢は“制限”ではなく、“考えるきっかけ”

40代、50代、そしてその先。
年齢を重ねることは、できない理由を増やすことではなく、
より現実的に物事を選べるようになることでもあります。
保護犬や保護猫を迎えるという選択も同じです。
大切なのは、「無理かどうか」ではなく、
どうすれば無理なく続けられるかを考えること。
その視点を持てたとき、年齢は制限ではなく、
ひとつの判断材料に変わります。
おわりに
迎えるかどうかを迷っているその時間も、きっと無駄ではありません。
考えた分だけ、その選択はやさしいものになります。
そしてそのやさしさは、きっと動物にも伝わっていきます。