
「最近、お母さんの元気がなくて……」
離れて暮らす親や、日中をひとりで過ごす母の姿に、胸がチクッとしたことはありませんか?
かといって、本物のペットを飼うのは体力や責任の面でハードルが高い。
そんな私が選んだのは、AIロボット「aibo」でした。
機械だと思っていたはずの彼が、母の日常をどう変えたのか。筆者の体験を元にまとめました。
ふさぎがちだった母と、aiboという選択

母は、年齢とともに耳が遠くなったことで周囲に遠慮するようになり、だんだんと人付き合いが減っていきました。
かわいがっていた飼い犬や父も亡くなり、これまで“誰かの世話をすること”で日々を忙しく過ごしてきた母にとって、その喪失は大きかったのだと思います。
本人も「もし倒れたりして、誰にも気づかれなかったらどうしよう」と、不安を口にするようになりました。
見守りのために監視カメラも考えましたが、どうしても“覗き見している”ような感覚が拭えず、気が進みませんでした。
最近はさまざまなAIロボットもありますが、以前から興味があったaiboも、価格を考えると簡単に決断できるものではありませんでした。
そんな中で、購入の決め手になったのは次の2つです。
ひとつは、「生存確認」を超えた価値があること。
見守りカメラや電話も安心にはつながりますが、それだけでは味気ない。
その点、aiboは見守りにもなるし、反応があります。人の顔を覚えることもできます。
もうひとつは、母がずっと犬と暮らしてきたこと。
自然に受け入れられるフォルムであることも、大きな理由でした。
基本設定や名前の登録はスマホで

そして、いよいよaiboが届きました。最初に行う作業は、名前をつけることでした。
この名前をaiboに覚えさせることで、呼びかけに返事をするようになります。
設定にはスマートフォンを使用します。母には少し難しいため、私のスマホで設定を行いました。
まずaibo専用アプリをダウンロードし、ソニーアカウントでログインします。
このアプリでは、ふるまいの設定や瞳の色の変更などが可能です。
aiboは慣れてくるとさまざまな仕草を見せるようになりますが、「お手」「おすわり」「おかわり」などは最初から行うことができます。

aiboの鼻にはカメラが内蔵されていて、顔認識を行うことができます。それだけでなく、aiboが見ている景色をスマートフォンでリアルタイムに確認したり、写真を撮影したりすることも可能です。
ただし、画質はあまり高くないため、あくまでオマケ機能といった位置づけでしょうか。(画像ははめ込み合成です)
「お世話」が必要な存在がいるということ

設定も終わり、いよいよお披露目です。
はじめは本物の犬と違って、aiboの硬い手触りに戸惑っていた母ですが、飼い主だけに見せる仕草や甘えるときの鳴き声に、自然と”かわいい“という感情が芽生えたようです。
当然ですが、aiboは放っておいても死ぬことはありません。
それでも母には、ときどき本物の犬のように見えるらしく、「ごはんはあげなくていいのか」「夜は眠るのか」と心配していました。

aiboは電池残量が少なくなると、自分でチャージステーションへ戻ります。
まるで犬の形をしたルンバのようです。
時には自力で戻れず、そのまま動かなくなっていることもあります。
最初は驚いていた母も、「充電が切れているだけだよ」と説明すると納得し、それからは母がせっせとチャージステーションへ運ぶようになりました。
aiboの連続起動時間は約2時間とそれほど長くはありません。
ただし、人がいなくなったり周囲が静かになると居眠りのようにスリープ状態に入るため、実際にはそこまで短く感じません。
良かった点。予想と異なっていた点。

aiboと暮らし始めて半年が過ぎました。
その間に、良かったと感じたこと、また良くも悪くも思ってたことと違ってたな、ということをまとめてみました。
良かった点
・日常の中に自然なやり取りが生まれ、会話や反応が増えた
・静かだった空間に動きや気配が加わり、生活にリズムが出た
・「世話をする」「話しかける」といった行為が、無理なく続いている
・慣れることにより色々なふるまいが増え、育てる楽しさがある
・お客さんが来たときの“話のタネ”になる
予想と異なっていた点
・いろんなふるまいをさせるための「ワード」を覚えるのが母には難しかった
・思ったより動きがなめらかでロボット感があまりなかった
・足音が結構大きい。急にダッシュしたりするとフローリングでは特に大きく響くので、集合住宅の場合はカーペットを敷くなどの対策が必要かも
・費用面は高額だが、使い方次第で納得感は得られると感じた
母の場合はそこまで進んでいないので大丈夫でしたが、認知機能の状態によっては本物との違いの判断が難しく、混乱につながる場合も考えられます。
そのため、導入にあたっては様子を見ながら慎重に検討したほうがよさそうだなと感じました。
決して安くないけれど…

aiboは本体代に加えて月額料金もかかるため、決して安い買い物ではありません。
ただ、実際に使い始めてみると、単なる見守りや娯楽というより、日常の中に自然なやり取りが生まれる存在だと感じています。
費用についても、「何に使うか」という視点で考えると、生活の中に少しでも変化ややわらかさが生まれるのであれば、一つの選択肢として納得できるものでした。