
昭和の築古だった実家を、一度骨組み(スケルトン)に戻して再生させた体験記です。
第4回の最終回は「お金・契約編:かかった費用と私なりの総括」です。
初めての方は準備編①から、続きで読んでいる方はそのままお付き合いください。
お金・契約編:かかった費用と私なりの総括

工期は延び、費用も大幅アップ!
今回のリフォームで、意外と大きな論点になったのが「お金と名義の整理」でした。
この部分は主に夫が担当してくれたけれど、親の家をリフォームして住む場合は、単純に工事だけ考えればいいわけではなく、税金や相続との関係も整理しておく必要がありました。
うちの場合は少し前に父が亡くなったときの相続手続きで、家の評価額を出してもらっていたため、その金額をベースにして、まず親の家をいったん“買い取る”形を取ってからリフォームを進めることにしました。
最初は「親の家をそのまま直す」ことを考えていましたが、一度きちんと所有関係を整理してから、改めて自分たちの家として作り直していく、という流れに落ち着きました。
こういうやり方が必ずしも一般的かどうかはケースによると思うので、最終的には税理士さんにも相談して、費用をかけてアドバイスをもらった上で進めました。
正直、リフォームの内容よりも、このあたりの整理のほうが難しかったかもしれません。ですが、将来、相続問題は必ず発生するので、いい勉強になったと思います。

契約者を誰にするか問題 ― 意外と大きかった“名義の話”
もうひとつ地味に悩んだのが、「契約者を誰にするか」という問題です。
私の親の家とはいえ、リフォームして住むのは自分たち夫婦世帯。
なので、自分が契約者になったほうがいいのか、それとも世帯主である夫にまとめたほうがいいのか、迷いました。
親の家なので気持ちとしては自分が前に出るほうが自然にも思えるし、一方で、税金、契約の整理まで考えると世帯としてまとめたほうがシンプルになる部分もあります。
色々考えて、最終的には夫を契約者にする形で進めました。実務的な手続きや金融・税務の整理を考えると、そのほうが全体としてスムーズだったからです。
家を直すというより、「誰の名義で、どう責任とお金を整理するか」を同時に決めていく感じで、大規模リフォームの裏側にはこういう事務的な意思決定もつきものだと言うことを知りました。

実家のリフォームを終えての感想
最終的にかかった費用は、当初見積もりの2割増しとなりました。
この中には、前述した屋根裏のカビ補修や、途中で追加した作業、造作収納などが含まれています。
後からでは難しい部分も多かったため、「今しかできない」と思い切って追加したものもありました。
その一方で、ショールームで勧められるまま決めてしまったシステムキッチンは、途中でグレードダウン。
自分たちにとって「何が必要で、何が妥協できるのか」を、その都度考えながら取捨選択していきました。
実際に工事が始まると、「あれも直したい、これもやっておきたい」が次々に出てきます。
本当は全部やりたい。でも、予算には限りがあります。
だからこそ、「自分たち家族にとって何が一番譲れないのか」を軸に考え、削るところは削り、必要だと思う部分にはお金をかけました。
その優先順位は、きっと家庭ごとに違うのだと思います。
今回の実家リフォームを通して、一番感じたのは、
「家って、一生に何度も買えるものじゃないんだな」
という、ごく当たり前のことでした。
だからこそ、その大きな決断を短期間で次々にしていかなければならなかったのは、本当に大変でした。
建て替えにするのか、リフォームにするのか。
どこまで直すのか、どこでやめるのか。
誰に頼むのか。
ひとつひとつは“選択”だけれど、どれも軽い気持ちでは決められません。
今回は、母の施設入居というタイムリミットもあり、スケルトンリフォームを選びました。
結果として、建て替えでは知ることのなかった問題にも直面し、費用も工期も当初の想定を超えました。
それでも、親が長年暮らしてきた家を完全に壊してしまうことには、母だけでなく、私自身もどこか抵抗があったのだと思います。

いつかはどうにかしなくてはならない親の家。
完全に実家を処分する「実家じまい」には寂しさもあります。
わが家の場合はスケルトンリフォームにしたことで、元の間取りや雰囲気を残すことができ、「暮らしの記憶」を引き継げたことは、建て替えでは得られなかった大きな価値だったと感じています。